バッテリーデイのポイント

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「ひまじん」さんの投稿

バッテリーデーについても雨堤先生は詳細に分析してくださっていますね。先生のおっしゃる通り全て「非現実的ではないが、簡単でもない」ことの積み重ねだと思います。
イーロンマスクの凄い所はその「カイゼン」を全方位同時多発的・爆発的に前進させる事ができる点ではないでしょうか。SpaceXだって言うなれば既存技術の積み重ねですが、海上フロートに着陸するところまでやってのけるのは彼の会社だけでしょう。
私はイーロン・マスクの最大の発明は、爆発的に開発速度を早める方法として「ラピッド・プロトタイピング」を確立した事にあると思います。
本来プログラミングの世界にしかなかったアジャイルの概念を大胆に現実世界に引きづり出し、誰にも到達できない速度でエンジニアリングを加速させて行く様にはワクワクさせらっぱなしです。

 

 ひまじん 2020年9月23日 7:21 PM
驚異的な内容でした。
「タブレス化によってラインを7倍に高速化」「ドライ電極でオーブン不要」「1ラインで20GWh」テスラは本当に世界最高の人材が集まってるんですね。バッテリーの低コスト化に寄与することは “全てやる” つもりですね。しかもそれを「1ライン3〜4ヶ月で世代交代させながら進歩させてゆく」「すでに第4世代試作ラインに取り組んでいる」んですから普通じゃないですね。これがSpaceXでやってるラピッドプロトタイピングなんですね。本当にすごい。
これ絶対他社は追いつけないですよ。生産技術をこんなメチャメチャな速度で全方位同時改良できる企業はテスラ以外存在しません。なんでこの内容で株価下げるのか謎ですね。詳しいアナリストが分析を出すまでこの発表の凄さが分からないのかな?

2020年9月22日に米Tesla(テスラ)が開催した電池事業の説明会「Battery Day」の発表内容は、電池メーカー各社に衝撃を与えた。これまで、電池メーカーにとってのテスラは、電気自動車(EV)で電池の市場を拡大してくれる存在だった。ところが一転、テスラが電池内製化の方針を打ち出したことで、電池メーカーはシェアや主導権を失うリスクが浮上した。

 

 

 テスラの主な発表内容は、以下の通りである。

電池の生産能力を、22年中に100GWh/年、30年までに3TWh/年に高める
EV用電池パックの単位容量当たりのコスト(米ドル/kWh)を56%下げる
コスト削減した電池を使って価格を2万5000米ドル(約264万円)に抑えた新型EVを23年までに発売する(同社のEVで最も安価な「Model 3」よりも1万米ドル以上安い)
EVの生産能力を、30年までに2000万台/年に高める(20年の出荷目標は50万台)
 テスラ最高経営責任者(CEO)のElon Musk(イーロン・マスク)氏は、電池を内製化できるまではパナソニックや韓国LG Chem(LG化学)、中国・寧徳時代新能源科技(CATL)からの調達を増やすと語るが、生産能力の強化は着々と進んでいる。複数の欧州メディアの報道によると、テスラは、ドイツのBMWやDaimler(ダイムラー)との取引実績がある同国の生産エンジニアリング会社Assembly & Test Europe(ATW)を買収することで合意したという。

 Battery Dayの開催前は、全固体電池や、エネルギー密度が500Wh/kgを超えるような電池など画期的な技術に関する発表が期待されていた。だが、テスラが実際に公開したのは「4680」と呼ぶリチウムイオン電池セルだった。直径46mm×長さ80mmと、既存の電池セル「18650」(同18mm×65mm)や「2170」(同21mm×70mm)よりも大きなこの円筒形セルを使うことで、14%のコスト低減効果が見込めるという。


LG化学に打撃
 度肝を抜くような発表こそなかったものの、韓国ではテスラの発表がEV用電池で世界市場シェア1位(20年1~8月、容量ベース、韓国SNE Researchの調査)のLG化学にとって打撃になったとみている。EV市場の拡大は電池メーカーにとってもチャンスだが、テスラが内製化を進めれば電池メーカーが主導権を奪われるからだ。

 テスラは20年10月1日、中国で生産するModel 3の価格を、従来の27万1550人民元(約422万円、中国政府の補助金を受けた額)から24万9900人民元(約389万円、同)に下げると発表した。米Bloombergブルームバーグ)の報道によると、値下げしたモデルでは、新たにCATLのリン酸鉄リチウムイオン電池LFP正極)を採用したという。正極にコバルトを含まないのが特徴である。コバルトは埋蔵量や児童労働といった問題が指摘されており、各社はコバルトフリー化の技術開発に取り組んでいる。これまでのモデルでは、パナソニックのニッケル-コバルト-アルミニウム酸リチウムイオン電池(NCA正極)や、LG化学のニッケル-マンガン-コバルト酸リチウムイオン電池(NMC正極)を採用していた。テスラとCATLの関係が密接になっていることも、CATLとシェアを争うLG化学にとっては脅威である。

LG Chemのリチウムイオン電池「21700」


 LG化学は、正極におけるニッケル比率を90%に増やしてコバルト比率を5%以下に抑えたニッケル-コバルト-マンガン-アルミニウム酸リチウムイオン電池(NCMA正極)に力を注いでおり、米General Motors(ゼネラル・モーターズGM)が21年に発売する新型EVピックアップトラックに同電池を供給するための量産準備を始めた。当初は22年までに同電池の開発を完了し、GMに供給する予定だったが、GMの計画が前倒しになったことでLG化学も量産を急いでいる。

 両社は19年12月、同電池の生産に向けた合弁会社の米Ultium Cells(アルティウム・セルズ)の設立を発表していた。出資比率は、50対50である。現在、2兆7000億ウォン(約2460億円)を投資し、30GWhの年間生産能力を持つ工場を建設中である。21年発売予定の新型EVピックアップトラックには、まずLG化学の工場で生産した電池を供給し、その後は合弁会社の工場で量産した電池を供給する計画である。

 この他、LG化学は20年6月、韓国Hyundai Motor現代自動車)とEV用電池を生産する合弁会社インドネシアに設立することを検討しているとも報じられた。

中国に正極材工場
 LG化学は、電池原価低減に向けて正極材の内製化を急いでいる。コバルトサプライヤーの中国・浙江華友鈷業(Zhejiang Huayou Cobalt)と合弁で中国・無錫市に設立した楽友新能源材料(無錫)〔Leyou New Energy Material(Wuxi)〕の正極材工場の建設が完了し、稼働を開始した。中国メディアの報道によると、当初の生産能力は月産5000トンだが、21年第3四半期までに月産4万5000トン、将来的には月産10万トンに引き上げる計画だという。さらに、LG化学は24年までに韓国内で年産20万トン超の生産能力を確保する。

 さらに、同社はEV用電池およびエネルギー貯蔵システム(ESS)事業を強化するために分社化も決めた。20年12月1日付で、完全子会社のLG Energy Solution(仮称)を設立する。

 LG化学は、分社化の理由として、投資資金の確保や迅速な意思決定、柔軟な組織運営を挙げる。新会社は24年の売上高として30兆ウォン(約2兆7300億円)超を目標に掲げており(20年の売上高は13兆ウォンの見通し)、将来の新規株式公開(IPO)も検討している。韓国では、テスラが電池の安定調達のためにLG Energy Solutionに出資するのではないかという観測も出ている。

 事業効率化に向けて、韓国LG Electronics(LG電子)の自動車部品ソリューション事業が担当している電池パック生産施設をLG Energy Solutionに移管する計画もある。それによって、電池パックと自動車部品ソリューションを組み合わせて利益を高める狙いだ。従来は、LG化学が電池セルを生産し、LG電子がEV向けにパッケージングしていた。

 LG化学は、20年10月21~23日にソウル市で開催される2次電池関連の展示会「InterBattery 2020」で分社後のビジョンを明らかにするようだ。韓国電池大手のSamsung SDI(サムスンSDI)とSK innovation(SKイノベーション)も出展し、テスラに対抗するための新技術や戦略を発表するという。