3億が60億に?テスラのコール・オプションを買いまくった投資家:エメット・ペッパーズ

ま60億になったわけじゃなくて、ポテンシャルの話なんですけどね。ただコールオプションをUSD2.7ミリオン分買ったのは事実みたいです。

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 エメットさんが買ったのは、

 

$TSLA call JAN 15'21 $700

 

ですね。このオプションは1単位が、

「2021年1月15日に、テスラ株式100株を、1株あたり700ドルで買う権利」

を表しています。

 

しかも買ったその数なんと3,500個以上

つまりテスラの株式を35万株購入する権利を買ったわけですね。

ただ実際にオプションで、権利を行使する場合は少なく、満期の前に反対売買するのが普通です。

 

で、購入価格を抑えるためにコールスプレッドを組んだわけでもなく、

単純に裸単騎のド根性コール買いです。

 

S&P500採用が決まった翌日に、オープン前にインタラクティブ・ブローカーズ証券のブロックトレーディングデスクに電話してアシストしてもらいながら、最初の45分間で5.5ドル~6.85ドルの間で約定させました。

(日本でオプション投資するなら、IB証券が事実上の選択肢となると思います)

 

で当該オプションは11月24日の時点で$17の値段がついてますので、およそ2.5倍になってますね。

 

3ミリオンはすでに含み益が発生しています。すごいです。

 

そしてなんと「このトレードは20Xのポテンシャルがあると思ってエントリーしている」と冷静に語っています。2か月弱で20バガーの達成です

 

彼の予想通りになるならば、2.7ミリオンが54ミリオンになります(白目)。

 

期限を区切ってボラティリティの概念を導入することで、数百倍の利益もしくは損失というすさまじい損益の出方を可能にするのがオプションの醍醐味です。

 

逆に現物株をホールドしていれば、実に多彩に損失と利益の出方をコントロールできるのもオプションの素晴らしさです。

 

ちなみに

オプション投資には、デルタ、ガンマ、ベガ、セータのグリークスのある程度の理解が必須です。

株価の変動に対するオプション価格の微分がデルタで、デルタの微分がガンマです。

つまりデルタが速度で、ガンマが加速度ですね(高校物理www)。 

ボラティリティに対する反応度がべガで、タイムディケイがセータです。

 

エメットさんのベットは、ディープアウトオブザマネーのコールを買ってるわけですから、先ずはある程度セータを犠牲にして、ベガをロングしてる戦略です。このケースではデルタとガンマは、当初はほとんど反応しません。

 

で、彼の予想が実現するためにはテスラの株価が、どれくらいの期間で、どれくらいまで到達しなければならないのでしょうか?

 

正確な数字は難しいですが、およそ850ドルくらいですね。しかも年末年始ぐらいまでに。年末までに、それぐらい行けばタイムディケイを考慮しても20バガー達成できると思います。

 

購入時点の株価がおよそ450ドルですから、1か月強で400ドル以上のアップサイドを見込んでるんですね。

 

彼が自分のトレードの一番の根拠に挙げているのはズバリ

 

「売り手の不足」です。

 

現在のマーケットのボリュームのほとんどはアルゴ取引がつくりだしていることは周知の事実です。

 

彼はもともとマーケットメーカー関連の仕事をしていたらしいのですが、その経験から、テスラなどの人気株を長期にホールドしている投資家は空中戦にはあまり参加していないとしています。マーケットのボリュームのほとんどは、アルゴとロビンフッダーが空中戦を演じていることにより、作り出されていると語っています。

 

だからインデクサー、ベンチマーカーたちの本気の買いがやってくるときに、実は積極的な売り手はさほどいないというのが彼の主張です。

 

すなわちS&P500入りで「インデクサーたちは誰から株を買うんだ問題」が発生すると。

 

また現在進行形で、ベンチマーカーたちも、今ここでテスラをポートフォリオに加えるかどうかの決断を迫られています。ここまで大きい時価総額のものがインデックスに組み入れられるのに、それを無視して、ベンチマークに勝とうとすると、必要のない苦労がつきまとうわけです。

 

そもそもベンチマークが1.34%以上の比率で組み込もうとしている株を、それ以下の比率でしか持たないということは、ベンチマーカーたちにとっては、その株を事実上ショートしているのと同じことです。

 

それで果たしてベンチマークに勝てるのか?という問題もさることながら、普通は1銘柄あたりのショートキャップがあると思います。今回はそれに抵触する可能性が出てきます。そうするとキャップ解消まで現物を買わなければならなくなります。

 

 

その分の買いもインデクサーほどではないにしろ、見込めると述べています。

 

つまりインデックス・スクイーズゲーリーブラックさんなどの想定よりも大規模に起こると考えているわけです。

 

その過程で株価は800ドルも突き抜けていくだろうというシナリオにベットしているわけですね。

 

また、ここまで時価総額が大きくなってくると、ヘッジファンドはショートしようとしても、キャップがかかってしまって、ほとんど株価にプレッシャーを与えられないだろうとしています。ショート勢も脱落していくからその意味でも「売り手不足」との見解も持っています。

 

まとめると

・インデクサーの買い

・ベンチマーカーの買い

・ショーターのキャップ制約

・熱狂的な長期投資家

 

などが、インデックス・スクイーズを引き起こすということでしょう。

(あとデルタヘッジにもとづく事実上のロックアップフロートも面白いトピックとしてあるのですが、それはまた別エントリーで)

 

ま、彼は個人資産30ミリオンUSDを超えているので、2.7ミリオンのベットが可能なわけです。資産の10%未満のベットです。資産をオールインしているわけではないのです。

 

本人もインタビュアーもこういったタイプの取引は、マーケットがちょっとでも調整すれば全額失う可能性があると、繰り返し注意喚起しています。

 

 

それにしても12月中旬がますます楽しみになってきました!

 

700ドルコール今から買っても5バガーはいけるかな(ボソッ)