テスラコミュニティに学ぶ 2020Q4 ERのポテンシャル

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 Q4決算を受けて、テスラコミュニティで分析が進んでいます。EPSが「ストリート予想とかいう勉強不足のアナリストどもの平均値」に届かなかったことで、失望決算とかいう輩もいますが、個人的にはポテンシャルしか感じない超絶決算だったと思います。

 

とくにカンファレンスコールには今後の事業展開についての素晴らしいヒントがちりばめられていました。

 

とくに Dojo。 これは、アマゾンにとってのAWSと同じストーリーをテスラにもたらす存在だと感じました。

 

EV、エネルギー、ロボタクシー、Dojo これらのポテンシャルが全て開花した暁には、テスラの時価総額1,000兆円余裕で越えているでしょう。

 

1.  Q4粗利益(GM)は予想よりも低かったです。ただし、

 オート部門GMはリカーリングで見れば、実際はQ3よりも高かったと思います。一時的な費用がかさみました。

 

「S / Xリフレッシュ」

「シングルピース鋳造(single piece castings)導入にともなうコスト」

「中国でYをマージンを圧縮して販売」

「Covidによるロジスティクス費用と人件費の増加」

などなどが加わり、マージン・レートを一時的に悪化させました。

 

エネルギー部門GMは、ソーラールーフのランプアップによって低下しました。ただしそれにより業界でベストのコスト構造を作り上げ、業界1位に戻る準備ができています。

 

R&D費用の大幅な増加

サービスセンター、モバイルフリート、スーパーチャージャーの急拡大に伴う費用増

転換社債の早期決済による100ミリオンの利息

イーロンに対する株式ベースの報酬

 

これらは長期的には素晴らしい結果をもたらします。CFOのザックは、営業利益率が引き続き増加していくことを認めています。

 

2. 展望(Outlook

テスラは「これから何年も」50%成長し続けます。

2021年のデリバリー数は「実質的に」50%のガイダンスを上回り、「2022年も同様に上回る」でしょう。

2021年後半は、さまざまな新製品の増加により、デリバリー数は年前半よりも多くなります。

イーロンは2021年が素晴らしい年になると考えています!

多くの新製品、工場の新設・拡張が進行中です。

テスラの売上規模が急拡大するにつれて、売上比での営業費用の割合は低下していきます。

テスラは、WSの短期的な期待に応えるよりも、50%以上の長期的な成長を継続することに集中しています。これは絶対に正しいことです。

 

3. FSD:
1〜2か月以内に、FSDの月額サブスクリプションが導入されるでしょう。

 

FSDは急速に改善されています。フィードバック学習も急速に進んでいます。1000人以上のベータユーザーが新規に追加されました。

 

イーロン「私たちはたくさんの実データを持っています、大量の実データは素晴らしいAIのために必須です。」

 

イーロン「聖杯となるのは、ビジョンシステム上での、自動ラベル付けです」「これは私のようなAIの人にとっては夢です。」

もう1つの重要なことは「FSDは現段階のテスラのNNチップで実現でき、新たなv2チップ + ハイレゾカメラは必要ない」と述べたことです。

 

人の運転よりもFSDのほうが100%安全となるだろうこと。この実現のための障害はありません。

 

イーロン:「オートノミー実現に関して、誰が2番目になるか見当もつきません(現段階でテスラが圧倒的なリーダーということ)」

Dojoはトレーニング用スーパーコンピューターです。

 

イーロン「Dojoが、世界最高のニューラルネット・トレーニングコンピューターになると信じています」

 

この発言は「グーグルが現段階で何を実現しているのか」をイーロンが、的確に把握してることを意味します。NNチップを用いたサービスでグーグルを越えられると考えているのです。ゆえにこの発言は素晴らしいです!

 

Dojo これは新しいビジネスラインになるでしょう。AIのSaaS、AIaaS です。

 

4. バッテリー
4680セルに対するショー・ストッパーは見当たりません。また2022年までに100GWh生産を達成するでしょう。

 

5. 新しい モデル S/X

これは素晴らしく未来的な車です。1ヶ月程度でデリバリーされるでしょう。

イーロンは、おそらく今週後半に改めて、新しいモデルS / Xの発表会を行うだろうと述べました

 

6. CyberTruck
ほぼすべての開発・エンジニアリングが終了しています。

工作機械を発注できる段階です。

CT用の8000トンの鋳造プレス(8000 ton casting press )の導入が決まっています。

 

2021年に一部デリバリー開始される可能性がありますが、大規模なデリバリーは2022年になるでしょう。

 

7. テスラの企業価値

イーロンによれば、Teslaを$ 1T企業として、評価するのは簡単なことです。Robotaxiに2倍の車両使用率を適用するだけですから。(only using 2X vehicle utilization for robotaxi.)

これはなんとなくはわかるが、細かい計算式がよくわからん発言だった。 

 

CFO:キャパシティとテクノロジーへの長期間に渡る投資のメリット(将来の爆発的成長)を理解しています。 

 

アフターアワーの下げに惑わされないでください。Q4 決算は驚きに満ちています。

 

〇付いたコメント

イーロンによると、中国でのFSDの購買率が1%であると述べました。多分それはマージンの低下と関係があります。 FSDサブスクリプション と Plaid S / X は、マージンが改善されてくるのに役立つでしょう。

同じことを考えていました。中国でのモデル3の値下げと、モデルYの低価格でのローンチ、さらに低いFSDテイクレートは、マージンを引っ張っています

 

明晰な頭脳と根性を併せ持つ若き投資家フランク・ピーレン

短期的な財務のみに焦点を当てた投資家にとっては悪いERでしたが、長期投資家にとっては「素晴らしい金の卵」がいくつか含まれていました。

 

デリバリーの数が事前に示唆したよりも財務結果が弱かった理由から始めましょう。

 

自動車部門のGMは大幅に値引きされたモデルS&Xにより苦しめられました。(旧車両のテスラへのトレードインなどで、実質的な割引を受けることが可能)

 

カンファレンスコールで示唆されたことは、在庫を売却するための措置だったこと。また 新しいモデルのローンチを踏まえて、現行の「古い」バージョンを、割引いて顧客に提供するためであったことです。

 

顧客の利益のために正しいことをすることは、長期的に見返りがあります。


エネルギー&サービス事業GMも、将来に焦点を合わせたために苦しみました。

 

ソーラールーフのランピングは、エネルギー事業のGMの重しとなっています。しかし、これらの投資は今後数年間で大きな成果を上げるでしょう。

 

サービスGMも将来への投資により弱含みでした。これらは両方とも一時的なものでしょう。

営業費用(OPEX)は大幅に増加した可能性がありますが、今期のOPEXの多くは、CEO CompPackageに関するもので、1回限りの費用でした。

 

また営業費用の増加は、売上成長に伴うものとも予想されます。これまで大幅な売上成長にもかかわらず、過去4〜5四半期で、OPEXがほとんど増加しなかったことの方が驚異的なことでした。

  

テスラのようなハイパーグロース企業にとって、各種のマージンとコストが変動しつづけることは当たり前であり、正常なことです。

 

普通株保有しているだけの場合は、短期的な財務にこだわるのではなく、長期の成長に焦点を合わせてください。

 

私にとっては3つの重要なポイントがありました。

 

カスタマーサービスとコミュニケーションに関して。

ジェロームの取り組みは素晴らしいです。何をしているかについて詳しく説明しているのを聞いてとてもうれしく思いました。数年後には驚くべきものになると信じています。


②テクノロジーのライセンシングに関して。

テスラがライセンス供与をするかどうかは少し懐疑的です。

 

ただテスラはEV生産でも、自動運転でもテスラと本当に競争できるレベルの企業は、もはや存在しないことに気づいています。

 

テスラは将来的にEV産業、自動運転産業で(準)独占的な位置を占めるでしょう。そうなれば、テスラのサイズとパワーは巨大なものになり、規制当局の監視に直面することとなるでしょう。

 

その時点までに、当局に協力的であり、独占志向( "walled garden")とは反対の志向を持っていると認知されている必要があります。

 

そのエクスキューズのためのライセンシングを行う可能性はあります。政治的な理由でのライセンシングです。

  

③テスラAIのポテンシャル

このERで私を最も興奮させたのは、テスラのAIのポテンシャルです。将来、AIが世界でどれほど大きな役割を果たすかについて、正確に見積もる手立てはありません。

 

AIが大規模な産業になるとすれば、最高のトレーニングコンピューター(サービス)と最高のAIチップを揃えた企業は非常に価値を持ちます。

 

TeslaのAIチップ(Dojo と組み合わせて使用すると相乗効果があるだろう)は、Dojo as a Service となるでしょう。これは莫大な価値を生み出す可能性のある事業部門が、Teslaの一部になることを意味します。

  

$NVDA の関係者は、テスラがこの領域で何をしようとしているのか、注意深く見守っているでしょう。これはHVACなどよりもはるかに高い成長可能性を秘めていると思います。

 

おそらく、テスラAI は Energy&Automotive と同様のサイズまで成長する可能性があります。

 

要約すれば、$TSLA将来への成長投資により、財務結果は予想をわずかに下回りました。しかし、長期投資家にとって心配することは何もありません。

 

長期のビジョン、生産台数の増加、FSDの進歩、およびAIの成長機会に焦点を合わせてください。

 

AIデーが待ちきれません!

 

〇質問者とのやり取り

2つのギガファクトリー建設の影響あるのでは?

それはCapexに現れるもので、マージンには影響しません。

 マージンに影響を与える成長のための投資の例:

-新しいスーパーチャージャー/サービスセンターが完全に利用可能となるまでには、ある程度時間がかかること
-ソーラールーフのランプアップの前に、より多くのインストーラーを雇うこと
-人員増強(hiring spree)に先立って人事部門を拡大すること

 

 

鋳造機(casting machines)はマージンに影響しますか?少なくともフリーモントのものに関してはどうか?

↓ 

完全に稼働したら、マージンを改善するでしょう。

 

現在 GoogleColab を利用しているエンジニアです。このサービスはGoogleのDatacentresに設置されている、Nvidiaのチップ上で実行されています。

 

テスラは独自開発したチップを使い、グーグルと同様のサービスを提供することになるでしょう。エンジニア観点からすると、テスラのこのサービスは、比較的簡単にローンチできると思います。これは、EV事業と違いデリバリーなど必要としません。すべてクラウド上で完結するサービスです。私は、このサービスに対する需要は莫大なものとなると思います。

 
私の周りで、GoogleのTPU をトレーニングに利用している人は誰もいません。ほとんどのエンジニアは、Nvidiaのチップ上で実行される PyTorch を使用しています。

  

テスラも PyTorch を使用しています。テスラは、独自開発のチップ用にいくつかのカスタムドライバーセットをすでに構築しているはずです。

 

PyTorch が Nvidiaチップ上で実行される方式もこれと同様です。

 

このNN計算サービスを、オンライン上で提供するのが、テスラにとっての最善です

そして、PyTorch で NNトレーニング を実行しているすべてのエンジニアが、すぐにこのサービスを利用し始めることは明らかです。

 

最終的な需要規模を想像するのが難しいほどです。

 

この部門のマージンも巨大なものになるでしょう。

 

〇別の方
レーニングのスピードは大きな問題です。優れたNNはどれも、高品質のデータを必要とし、そのトレーニングにはまだまだ長い時間がかかります。

 

テスラのサービスが、5倍~10倍のNNトレーニング時間の短縮を可能とするならば、劇的なものになるはずです。


DaaS (Dojo as a service)は、NvidiaNGCのようなものです

 

 

NVDA出身のARKのアナリスト↓

 「Dojoは世界最高のAIトレーニングコンピューターになると思います。サービスとして他の企業に提供するかもしれません。Dojoはそれ自体がビジネスラインになる可能性があります。」 – イーロン

 

テスラは「AIハードウェア事業」に参入したといえます。いうなれば

 

cloud AI as a service


すなわち、クラウドAIaaS です。AI /ニューラルネットクラウド・プロバイダーと言ってもいいです。またそれはAWSの AIサービス版ともいえる存在になるでしょう。 

また業界の他のプレイヤーへ「Dojo ニューラル・ネット・トレーニング」をサービスとして提供する可能性もあります。

 

イーロンはバッテリーデーで、FSDは遠い未来に最終的にはコモディティ化されると言っていました。Robotaxisサービスを提供しながら、FSDのコモディティ化を、収益チャンスにすることは理にかなっています!