テスラコミュニティに学ぶテスラのエネルギービジネスの可能性

 


テスラのエネルギー蓄電事業はどれくらいのポテンシャルを持っているでしょう?

 

現在の蓄電池技術を使用した、グローバルなエネルギー貯蔵市場の規模は、年間約3.65トリリオンです。

 

ここでは「エネルギー貯蔵システム全体での価格」は、kWhあたり500ドルと想定されています - the market price of Energy Storage Systems is assumed to be $500 per kWh

 

テスラがこの事業の20%の世界市場シェアを獲得すると仮定します。

 

するとテスラの売上は年間で730ビリオン(70兆円以上)になるはずです

 

粗利益率を25%と仮定すると、粗利益は年間182.5ビリオンになります

 

 

R&Dコストと間接費は、テスラの損益計算書でカバーされていると仮定します。

テスラの営業利益は年間年間182.5ビリオンになります

純利益は年間146ビリオンになります(実効税率20%とする)

 

するとこのセグメントによる、時価総額の追加分は

 

-10倍の株価収益率で1.46トリリオン

-20倍の株価収益率で2.92トリリオン

 

になります。

(オートビッダーなどのグリッド関連に基づく収益は考慮されていないことに注意→もしくはグリッド関連のハイマージン事業も含めての25%のGMレートなのかもしれない)

 

 


論点を補足します。


500ドル/ kWhという価格は、既存のパワーウォール並みの価格です。

他方でMegapack関連の価格設定は300ドルに近いです。

市場シェア(20%)を得るためには、価格をさらに下げる必要があります。

 

かりに全体のコストが 100ドル/ kWh (ラッキングコスト、設置費用などを含む総コスト)になれば、真に革新的でディスラプティブなビジネスとなるでしょう。

 

その場合には、25%のGMは難しそうです。簡略化のために 12.5%のGMとなるとします。 


するとJPR007さんの想定の 約1/10のマージンになってしまいます(価格が5分の1になり、マージンレートが半減しているので)。純利益は年間15ビリオンほどになってしまいます。株価収益率20倍とすると、ビジネスの価値は約300ビリオンにしかなりません。

 

私は、エネルギー事業のプロダクトの製造マージンが低くても、それは理にかなっていると思います。その上でエネルギー事業は、10%代後半~20%のGM率を達成できると考えています。

 

エネルギー製品事業の次に、テスラによる「定期的なエネルギーサービス(recurring energy services)」の可能性を考慮します。

 

パイロットプログラムでは、バッテリーが生み出す収入が、月額で約$ 8 / kWh でした。しかし、この値段では、テスラが事業を大規模に展開するためには、サービス需要者にとって経済的訴求力がありません。またテスラはこれらのサービス需要者からの収益をアセット・オーナー(たとえばneoen)とシェアする必要があります。


このビジネス(RES)が真にディスラプティブなものになるためには、このビジネスにおけるテスラの最終的な取り分が 月額で 約$ 0.50 / kWh になる必要があると思います。

 

仮にテスラが 1.5 TWh の蓄電容量を保有し、その出力を10年間維持するとします。すると、設置された分散型バッテリー容量(installed distributed battery capacity)は 15TWh に達するでしょう。

 

その規模までスケールできれば、これは年間90ビリオンの営業利益を生み出します。

 

税金を考慮したのちの、純利益を40倍(PE40)すると、約$ 2.7トリリオンとなります。このビジネス価値が、上記のエネルギー製品製造によるビジネス価値に追加されます。

 

上記の分析からは、多くのニュアンスが欠けています。現実には、設置されたフリートのすべてが、このレベルの収益を生み出すわけではありません。それでもサービスからのマージンのほうが、ハードウェアのマージンを上回ると思います。

 

(2人が見ている未来はそんなに違わない。エラボレーションの仕方が違うだけ)

 

 

粗利益率は、経営陣の決断に左右されます。

 

テスラはEV事業で平均25〜30%のグロスマージンを追求すると思います。



「生産規模拡大」と「数々の技術革新」と「独自設計のバッテリーの生産(製造が社内か社外かに関係なく)」とを組み合わせることで、テスラは2031年までに「低コスト生産が可能な自動車メーカー」になっていると思います。

この観点から、粗利益率は25%ではなく30%に達すると期待しています。

 
業界で一番コスト競争力があり、EV販売から30%の粗利益率を得ているとします。生産するバッテリーも当然それに準じたコスト競争力を持っているはずです。それらのバッテリーを粗利益率30%未満の別の高額商品(big-ticket items)すなわち、別の事業に投入することには意味がありません。

 

もしそれをするならば、「EV販売」が「エネルギー貯蔵システムの販売」を補助することになります。そんなことをする理由はありません。


「バッテリーセル生産」において、最低コストで生産できる生産者は、「バッテリーエネルギー貯蔵システム」でも最低コストで生産できるはずです。

 

その場合にEVビジネスにおける市場シェアと、バッテリー競争力からもたらされる収益性は、エネルギービジネスにおいても同様の結果をもたらすでしょう。 

 

https://twitter.com/jpr007

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上記の図が示すように、獲得可能な利益のプールにおいて最大のシェアを持つこと。このために「市場を占有する」必要はありません。美味しいところをいただくために、市場を完全支配する必要はないのです。

 

あなたの利益ポジション(profit position)に明らかなプラスの作用をもたらさない場合には、自然な価格設定レベルを下回った値段設定をして安売りしても、それが報われることはありません。 

例えばFDASの販売それ自体は、EV販売とはまったく別のビジネスです。

 

同様に、Electricity as a Service すなわち  EaaS から別に売上を得る場合にも、それは完全に別のビジネスと考えるべきです。たとえEV事業が、エネルギー事業の成立のためのツールとハードウェアを含んでいるとしてもです。

 

テスラが事業を大規模化する際に、粗利益率は25%になると確信しています。そうでなければ、この事業を拡大する意味がありません。

 

〇 質問者
将来の蓄電池システムの価格が、kWhあたり500ドル に設定されているのはなぜですか?

 

モデルSのバッテリーのコストは、現在 kWhあたり100ドル です。4680セルで kWhあたり60ドル に下がるとされています。それで他の400ドル以上は何のためのコストですか?

 ↓

kWhあたり500ドルという数字は完璧な数字ではありませ。テスラの損益計算書から導き出しました。実はこれは特定する(pin down)のが最も難しい数字です

 ↓
ただしストレージシステムにかかるコストはセルだけではないため、kWhあたり100ドル という数字は明らかに適切ではありません。

例えばインバーターにも費用がかかります。3.5kWhのソーラーモジュールの場合は1000ドル~1500ドルのコストがかかります。ただしソーラールーフ、バッテリーストレージと必要なインバーターの関係の計算方法がわかりません。


またインバーターのサイズは、家庭用なのかどうか、バッテリーの充電と放電の頻度、速度はどれくらいなのかによっても異なります。

 

またインバーターのコスト自体をどれだけ下げることができるかも問題です。

 

よって、現時点でのおおよその見積りの数字として、500ドルを使用しました。

正しい答えは100と500の間のどこかにあるように見えます。それを特定するには客観的で独立したデータポイントが必要です。

 

〇 別の人のコメント


テスラのエネルギー事業は、いつかテスラのEV事業をはるかに凌駕すると思います(Tesla energy will far eclipse Tesla automotive)。

 

エネルギーははるかに大きな市場であり、混乱の危機に瀕しています。化石燃料の時代が始まって以来、現在のレベルの変化はありませんでした。原子力はコストがかかりすぎます。水力は地形に依存しており、限定的です。「ソーラー+バッテリー」という組み合わせは、スケーラブルで、地球上どこでも展開できます。